この記事は映画の1シーンからリアルなビジネス英語のスピーキングフレーズを学ぶ内容になっています。
本日取り上げるのは『オッペンハイマー』という映画。
2024年のアカデミー賞7冠に輝き、今年最も注目されています。
世界初の原子爆弾を開発し、「原爆の父」として知られるロバート・オッペンハイマーの生涯と苦悩を描いた伝記映画。
映画の中ではビジネスでも使える英語のフレーズが豊富に登場します。
その中でも使えるビジネスフレーズを抽出して皆さんにお届けしたいと思います。
誰に向けて書いているか?
英語を使って情報を伝えるだけではなく、相手の心を動かして、行動に移してもらいたいと思っている人。
。
本記事で学べる事
- 映画「オッペンハイマー」で使われているリアルなビジネス英語フレーズ
- 各フレーズのビジネス応用表現
本記事を読めば映画の1シーンから実戦で使えるリアルなフレーズが学べます。
効果的なフレーズを自分のものにして実際のビジネス現場に活かしていきましょう。
執筆者は、私、たっちゃんです。
海外営業職に就いて8年になります。
今日のフレーズをご紹介しますね。
①was supposed to ~ ・・・~する予定だった。~すべきだった
②in a race against A ・・・Aに対する競争にある
③fire a starting gun ・・・開始する
④data indicates + 文章 ・・・データによると
⑤what’s next ・・・次の事
映画「オッペンハイマー」解説と今日のシーン
あらすじと今日のフレーズを順を追って説明します。
「オッペンハイマー」あらすじ
オッペンハイマーは1926年にハーバード大学を卒業した後、数々の大学へ留学する中で理論物理学を学び始めました。自身の研究や活動を通して核分裂を応用した原子爆弾実現の可能性を感じます。1938年にはナチス・ドイツでも核分裂が発見され、原爆開発の必要性を改めて痛感。
1942年、第二次世界大戦が激化する中、オッペンハイマーはロスアラモス国立研究所で原爆開発(マンハッタン計画)にリーダーとして関与します。
彼は全米から集められた優秀な科学者チームを率い、1945年7月16日には人類史上初の核実験「トリニティ」を成功させます。この成功はやがて広島と長崎への原爆投下へと繋がり、彼はアメリカ国内で原爆の父として英雄視されますが、その一方で核兵器による犠牲に深く苦悩します。
戦後、オッペンハイマーは核兵器の拡散に危機感を抱き、水爆開発に公然と反対。
彼はトルーマン大統領に会い、核兵器管理の国際機関の創設を提案しますが、受け入れられませんでした。その後、核兵器推進派との対立が深まり、彼の人生とキャリアに暗い影を落とします。オッペンハイマーの人生は、科学者としての輝かしい業績と、核兵器という人類史上最も破壊的な発明との葛藤の中で翻弄されるのでした。
今日のシーン
それでは本日のシーンを見てみましょう!
この映画は大きく分けて2つの視点に分割されます。オッペンハイマーの主観から見ているシーンはカラーで描写され、ルイス・ストロース(ロバート・ダウニー・Jr.)の主観から見ているシーンは白黒となります。
映画ではこの2つが同時進行します。「今日のシーン」は後者の白黒シーンです。
1949年、ソ連が核実験を成功させ核開発にはずみをつけました。その直後、オッペンハイマーを含めたアメリカ側の核開発責任者達が集まり核開発をどのように進めるか、について協議をしています。
その会議が本日のシーンです。
原爆の進化版である水爆の開発に関してオッペンハイマー(キリアン・マーフィー)は消極的な様子。原爆の開発に関わった事でどれだけ原爆が恐ろしいものか理解しているのです。水爆推進派のルイス・ストロース(ロバート・ダウニー・Jr.)とは対照的。
ルイス・ストロースは当時アメリカ原子力委員会のメンバー。元々は靴の商人ですが、ビジネスで莫大な財を成し、次第に政治に絡むようになりました。アメリカの原爆開発を後押しし、深く関わった人物です。
二人の思惑が複雑に絡んだシーンです。
今日のシーン セリフ
And how many people were in these, uh… open discussions?
ルイス・ストロース:オープンな議論には何人が参加していたのですか?
Too many. Compartmentalization was supposed to be the protocol.①
多すぎました。規模を小さくするべきでした。
We were in a race against the Nazis.②
私たちはナチスとの競争にいました。
And now the race is against the Soviets.
そして今、競争はソビエトとのものです。
Not unless we start it.
私たちが始めなければ違います。
Robert, they just fired a starting gun. ③
What’s the nature of the device they detonated?
ロバート(オッペンハイマーの事)、彼らは今まさにスタートさせたのです。彼らが爆発させた装置の種類は何ですか?
Data indicates it may have been a plutonium implosion device.④
ジュリアス・ロバート・オッペンハイマー:データはそれがプルトニウムを使った装置であった可能性を示しています。
Like the one you built at Los Alamos. The Russians have a bomb.
Truman needs to know what’s next.⑤
あなたがロスアラモスで建造したものみたいですね。ロシア人は爆弾を持っています。トルーマンは次に何をするべきか知る必要があります。
*ロスアラモスは原爆の研究所があった場所
What’s next? Arms talks.
ジュリアス・ロバート・オッペンハイマー:次は何か?軍縮交渉です。
Arms talks?
軍縮交渉?
Obviously.
明らかに。
compartmentalization ・・・区分け
protocol ・・・手順、規約 プロトコル
denote ・・・示す、表す
plutonium ・・・プルトニウムの
implosion ・・・爆縮。全周囲からの圧力で押しつぶされる破壊現象のこと
Arms talks ・・・軍備交渉(ここでは軍縮に関する話し合い)
ビジネス英語フレーズ抽出
① was suposed to~
解説
冒頭の文章、And how many people were in these, uh… open discussions?
ルイス・ストロースからそのopen discussion(原子力爆弾開発についての議論の場)にはどれくらいの人数が参加していたのか?という質問が来ます。
この質問の背景にはルイスが「ある」疑念を持っている事が挙げられます。
ソビエトが核開発を成功させているのはアメリカ側のスパイがアメリカの核開発に関する情報を流しているのではないか?という疑いを持っているのです。
それに対して参加者から、
Compartmentalization was supposed to be the protocol.という返答があります。
「was supposed to~」はビジネス英語でよく使われる表現で、何かが起こる予定だったが実際には起こらなかった、またはあるべき状態や期待されていた状態を示すときに使います。
ここでは、Compartmentalization(小さく区画化すること⇒小さな規模であること)がprotcol(標準化された方法)であるべきだったという意味です。だけどそうではなかった。
核開発についての議論は非常に機密であるので、discussion がopenではなく、もっと小さな規模で実施されるべきだった、という意味です。
be suppose to ~をビジネスで使う例
例文
【プロジェクトの遅延について話す時】
“The report was supposed to be completed by last Friday, but there were unexpected delays.”
「そのレポートは先週の金曜日までに完成する予定でしたが、予期せぬ遅延がありました。」
【会議のスケジュール変更を伝える時】
“The meeting was supposed to start at 9 AM, but it has been rescheduled to 11 AM due to the client’s request.”
「その会議は午前9時に始まる予定でしたが、クライアントの要望により11時に変更されました。」
【責任の所在を示す時】
“You were supposed to update the team on the project’s progress every Monday.”
「あなたは毎週月曜日にプロジェクトの進捗をチームに報告することになっていました。」
② in a race against
解説
次にオッペンハイマーはWe were in a race against the Nazis.(当時はナチスとの競争だった)と話します。
ルイス・ストロースはAnd now the race is against the Soviets.(今はソビエトに対してだ)と返します。
raceはこの場合、「race」は名詞として使用され、「競争」や「レース」という意味。
「against」は前置詞で、「〜に対抗して」という意味。この前置詞は「race」と組み合わさることで、「何かに対抗する競争」や「何かに対して急いで行動する」という状況を示します。
この表現は、特に緊急感を伴う競争的な状況を描写するのに適しています。
race against をビジネスで使う例
例文
“Tech companies are in a constant race against each other to innovate faster and capture the market.”
「テック企業は他社よりも速くイノベーションを起こし、市場を獲得するため、絶えず互いに競争しています。」
“Startups often find themselves in a race against established companies to disrupt traditional markets.”
「スタートアップ企業は往々にして、既存の市場を変革するために従来の企業との競争に身を置きます。」
③ fired a starting gun
解説
その後のストロースのセリフで they just fired a starting gun (ソビエトはまさに開発レースをはじめた)と話します。
「fired a starting gun」は「スタートピストルを撃った」という直訳になり、何かの開始の合図として使われたことを示しています。このフレーズは、何かが始まった瞬間を表現するのに効果的です。
start を使うよりもよりドラマチックな表現として使われます。何か新しいプロセスや活動、プロジェクトの開始を大々的かつ劇的に示す際に使われます。
fired a starting gunをビジネスで使う例
例文
“The CEO fired a starting gun on the new marketing campaign, signaling a bold new direction for the company.”
「CEOは新しいマーケティングキャンペーンをスタートし、会社にとって大胆な方向性を示しました。」
“After months of preparation, the project manager fired a starting gun on the development of the new software, mobilizing the entire team.”
「数ヶ月の準備の後、プロジェクトマネージャーは新しいソフトウェア開発を開始し、チーム全体を動員した。」
④Data indicates
解説
彼らの爆弾がどのようなものであるか、説明を求められたオッペンハイマーはデータを元に説明を始めます。
Data indicates it may have been a plutonium implosion device.
「データによるとプルトニウムを使った装置である」と言えるとの事。
この文章は情報ソースによって主語を「data」ではなく違う単語を使っても応用できます。
Data indicates をビジネスで使う例
例文
“The trend indicates that remote work is becoming more popular among employees in various industries.”
「そのトレンドを見ると、さまざまな業界の働き手の間でリモートワークがより人気になっていることがわかります。」
“The analysis of customer reviews indicates a high level of satisfaction with the new product feature.”
「顧客レビューの分析は、新しい製品機能に対する高い満足度を示しています。」
⑤what’s next
解説
Truman needs to know what’s next.
ソ連の状況を踏まえて、トルーマン大統領が次に何をするべきか?を尋ねている場面です。
what’s nextを使った例文
ビジネスでは常に「次に何をすべきか」について話しますよね。
例文
“The board needs to understand what’s next after our initial public offering.”
「取締役会は、初の公開株式公開後、何が起こるかを理解する必要があります。」
“Our investors need to anticipate what’s next for our product development cycle.”
「投資家は、私たちの製品開発サイクルにおいて次に何が起こるかを予測する必要があります。」
どのようにこのフレーズを応用するか?
自分にあてはめた文章を作ろう!
読者の方々はそれぞれ自分のいる会社、職場での関係性シチュエーションが違うと思います。
ご自身のおかれた環境をイメージしながら上記構文を使って皆さんに合った文章を作ってみてください。
それを何度も暗唱する事で自分のフレーズとして獲得できます。
練習方法
この構文を利用した自分事としての例文をつくり、自分のものにするためにも声に出して何度も繰り返しましょう。
原文音声をひたすらシャドーイング
ますます自然なネイティブのリズムや発音を手に入れるために、最初にオリジナルの音声を真似てみましょう。
自分事文をひたすら音読
原文音声のシャドーイングが出来るようになったら、自分が現在置かれている状況で文章を1つ(或いは3つくらいまで)作りましょう。それを覚えて無意識に表現できるようになるまで、繰り返し音読してください。適切な反復回数の目安は100回です。
まとめ
2024年大注目の映画「オッペンハイマー」からビジネス英語のフレーズを学んできました。今日のワンシーンから抽出されたフレーズは実際のビジネスシーンでも応用可能です。
映画のフレーズからご自身のフレーズを作って頂いて、是非実際のビジネスシーンで是非使ってみてください。
また他の記事でもビジネス英語で使えるフレーズ、構文、交渉方法などをまとめていますので是非ご覧ください。
①was supposed to ~ ・・・~する予定だった。~すべきだった
②in a race against A ・・・Aに対する競争にある
③fire a starting gun ・・・開始する
④data indicates + 文章 ・・・データによると
⑤what’s next ・・・次の事
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