この記事は映画の1シーンからリアルなビジネス英語のスピーキングフレーズや交渉方法を学ぶ内容になっています。
本日取り上げるのはブラッドピット主演の映画『マネーボール』。
大リーグのオークランドアスレチックスが実際に成し遂げた実話がもとになっています。
何かを成し遂げるには人をモチベートしたり巻き込んだり、時には対立したり、様々なドラマがあります。そのドラマの裏には様々な交渉がつきもの。
映画「マネーボール」では説得・交渉のドラマが詳細に描かれており、私はビジネス英語を学ぶ映画としてベストスリーに入っていると思っています。
それではこの映画でビジネス英語を学んで行きましょう!!
誰に向けて書いているか?
英語を使って情報を伝えるだけではなく、相手の心を動かして、行動に移してもらいたいと思っている人。
。
本記事で学べる事
- 英語の交渉フロー(要求のフロー)
- 「自分だったらどう言うか?」自分事としての応用表現の作り方
1. 注意を引きつける
2. 現状の問題点を明確にする
3. 要求を伝える
4. 詳細な根拠を提示する
映画「マネーボール」解説と本日のフレーズ紹介
あらすじと今日のフレーズを順を追って説明します。
「マネーボール」あらすじ
この映画の主役はメジャーリーグの貧乏球団オークランド・アスレチックスでゼネラルマネージャーを務めるビリー・ビーン(ブラッド・ピット)。
ビリーは当時画期的な方法であったデータを重視した選手評価にもとづき、経営危機に瀕した球団を再建しようと奮闘します。
選手を安価で集めて勝率を上げるという独自の戦略は周囲から小馬鹿にされ、無謀だと言われます。
しかしその無茶に思えた理論が機能し始め、あり得ない奇跡を起こす事に。。。
今日のシーン
映画の冒頭のシーン。
次のシーズンが始まる前にビリー(ブラッド・ピット)がチームのオーナーであるスティーブと面談します。
昨シーズンの振り返りと新シーズンについての会談の場。ビリーがオーナーにチームのメンバーが戦力的に物足りず、このままだと来季の結果が不安だとこぼします。
その上で新選手獲得の資金が欲しいとオーナーに掛け合うシーンです。
ビリーが新選手獲得のための予算を取るために、どのように交渉してオーナーを説得しようとしているのか?ビリーの話の組み立てとオーナーの反応を詳しく見ていきましょう。
・ビリー(ブラッド・ピット)・・・メジャー球団「アスレチックス」のGM。元野球選手。
・スティーブ ・・・「アスレチックス」のオーナー
(字幕設定で「正確な」英語字幕を出せますので、そちらもチェックして下さいね)
英文解説
We’re not gonna do better next year.
来年は上を目指せない。
(*1 「注意をひきつける」)
Why not?
何でだ?
Well, you know we’re being gutted.
我々は骨を抜かれた。
We’re losing Giambi, Damon, Isringhausen.
ジオンビ、デーモン、イズリングハウゼンを失うんだ。
Done deal. We’re in trouble.
終わった。厳しい状況だ。
(*2 「現状の問題点を明確にする」)
You’ll find new guys. You found Jason, you found Damon.
また探せばいい。ジェイソンやジオンビを探したように
I need more money, Steve.
金がいるんだ、スティーブ
(*3 要求を伝える)
I need more money.
もっと金がいる。
I can’t compete against $120 million with $38 million.
我々の3800万ドルじゃ1億2000万ドル(ヤンキース)には勝てない
(*4 詳細な根拠の提示)
We’re not gonna compete with these teams that have big budgets.
金持ちチームと競争する気はない
Done deal ・・・終了した取引のこと
in trouble ・・・厳しい状況にある
big budgets ・・・大きな予算
構文解説
今回のシーンの交渉は以下の通り順を追って進んでいます。
ビリーは「We’re not gonna do better next year」と述べることで、オーナーの注意を引き、状況の緊急性と重要性を伝えています。この言葉はオーナーに直接的な影響があると感じさせるため、自分事として捉えさせる戦略です。
ビリーはチームが直面している具体的な問題を指摘。Step1のなぜ今年はうまくいかないか?の理由でもあります。「We’re losing Giambi, Damon, Isringhausen」とチームの鍵となるプレイヤーがいなくなることを挙げることで、チームの弱体化を強調しています。
ビリーの結論でありビリーの要求内容です。ビリーは直接的に「I need more money」と述べニーズを明確に伝えています。ここが一番言いたいこと、「結論」です。
ビリーは「I can’t compete against $120 million with $38 million」と具体的な数字を使って、なぜ金が必要なのかを説明しています。ヤンキースはこんなにも金を使っている、と。
Step1でこのままいくと失敗する、と注意を引きつけ、Step2でその理由と詳細を述べます。
Step3で交渉の一番の要求(結論)を述べて、Step4でその理由を話します。
いきなり「金が欲しい」という結論を切り出すとよりも、危機感を共有し、注意を引き付けた上で説得する方が相手の了承を得やすくなります。
語句解説
Be gutted
“Being gutted”は、日常会話では「非常に失望している」や「心がえぐられるような」といった感情を表現するのに使われるフレーズ。直訳すると「内臓を取り除かれる」という意味ですが、比喩的には深い失望や悲しみを感じている状態を示します。
例文: “I was gutted when I heard the news.”
(そのニュースを聞いたとき、心がえぐられるような思いだった。)
この文脈では、ビリーが「We’re being gutted」と言っているのは、チームが重要なプレイヤーを失うことで大きな打撃を受けており、それによってチームが非常に困難な状況に置かれていることを表しています。つまり、チームが「骨を抜かれた」ような状態、すなわち核心部分を失い、その結果として深い失望や困難に直面していることを意味しています。
compete against
「compete against (or with)」は、相手との間に強い敵対関係や競争関係があることを示します。
これは直接的な競争や対決を意味し、しばしばスポーツやディベートなど、勝者と敗者がはっきりと分かれる状況で使われます。
例文: “The team will compete against the champion in the final match.”
(そのチームは決勝戦でチャンピオンと競争する。)
本日の構文を使った例文作り
それでは本日の構文を使った例文を考えてみたいと思います。
1. 注意を引きつける
2. 現状の問題点を明確にする
3. 要求を伝える
4. 詳細な根拠を提示する
英語例文 ビジネスシーン①
自分がビジネスで使うシーンを具体的に思い浮かべて例文を作ってみましょう!
わかりやすいように対話形式にしていますが、構文の1~4までの内容をひとまとまりにつなげてもても伝わります。
例文
A: “If we don’t act now, we risk losing everything we’ve worked for.” *1注意をひきつける
「今行動を起こさなければ、私たちがこれまでに築き上げたものすべてを失うリスクがあります。」
B: “What’s the issue at hand?”
「現在の問題は何ですか?」
A: “Our current equipment is no longer sufficient. It’s causing delays and affecting the quality of our output.” *2 現状の問題点の明確化
「私たちの現在の機器はもはや十分ではありません。それが遅延を引き起こし、私たちの品質に影響を与えています。」
B: “So, what do you propose?”
「では、どう提案しますか?」
A:”We need to invest in new, cutting edge equipments. It’s essential for maintaining our competitive edge.” *3 要求を伝える
「最新の最先端機器に投資する必要があります。これは私たちの競争力を維持するために不可欠です。」
B:”Do we have the budget for such an investment?”
「そんな投資に予算はありますか?」
A: “If we reallocate funds from less critical projects, we can cover the cost.
Plus, this investment will likely result in a 30% productivity boost, which leads to increased revenue.” *4詳細な根拠を提示する
「重要度の低いプロジェクトから資金を再配分すれば、費用を賄えます。さらに、この投資は30%の生産性向上につながる可能性があり、それは収益の増加に直結します。」
英語例文 ビジネスシーン②
例文
A: “Our team is our greatest asset, and if we don’t address this issue, we’re going to see a decline in morale and productivity.” *1注意をひきつける
「私たちのチームは私たちの最大の財産であり、この問題に対処しなければ、士気と生産性の低下が起こります。」
B: “What issue are you referring to?”
「どの問題を指しているのですか?」
A: “We’re understaffed, and it’s putting an unsustainable amount of pressure on our current team.” *2 現状の問題点の明確化
「私たちは人手不足であり、現在のチームに持続不可能な量の圧力がかかっています。」
B: “So, what’s the solution?”
「では、解決策は何ですか?」
A: “We need to hire additional staff. It’s critical to reduce the workload and maintain our quality standards.” *3 要求を伝える
「追加のスタッフを雇う必要があります。作業負荷を軽減し、我々の品質基準を維持するためにはこれが重要です。」
B: “How do you justify the additional headcount?”
「人員を追加するにあたっての根拠は?」
A: “By hiring more staff, we can increase our output by at least 20%.
Not to mention, it will significantly reduce burnout and turnover, which is costly for the company.” *4詳細な根拠を提示する
「追加のスタッフを雇うことで、私たちの生産量を少なくとも20%増やすことができます。さらに、これによりバーンアウトや離職率が大幅に減少し、会社にとってのコストも削減されます。」
練習方法
この構文を利用して自分事としての例文をつくりましょう。
そして自分のものにするためにも声に出して何度も繰り返しましょう。
自分の例文を覚えて無意識に表現できるようになるまで、繰り返し音読してください。
適切な反復回数の目安は100回です!
まとめ
復習で最後に構文を出しておきます。
映画でリアルな場面イメージを頭の中で持った上で、自分の文章を体に染み込ませる。これが重要です!
1. 注意を引きつける
2. 現状の問題点を明確にする
3. 要求を伝える
4. 詳細な根拠を提示する
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