英語の交渉で使われている「交渉の型」10選

一通りビジネス英語の単語、文法、フレーズ等を学んだけど、それらを実践の場でどのようにして使っていけばよいかわからない、というお悩みを聞くことが多いです。

実際の商談でどのようにして活用していくか、を考えるにあたって交渉の型を知っておくことはとても重要です。こちら側からどのように交渉を仕掛けるか、という戦略を立てることが出来ます。

また相手が仕掛けてきた時にどのような意図があるのか、どうしたいのかを気づく事ができます。実はアメリカではビジネススクールで生徒にこの内容を教えており、実際の交渉に活かしているんです。

私もかつては「お願い」&「誠意」のみで交渉にのぞんでいました

でも世界ではこれら型に基づいた丁々発止のやりとりが一般的。

この「型」を知ることで交渉を有利に進める事が出来ますよ。

それでは以下、交渉の型を見ていきましょう。

各手法の中に実際使える英語例文も参考までに入れさせて頂きました。是非ご覧ください。

尚、本記事の内容は「世界基準のビジネス英会話 重要交渉戦略15パターン」を参考にさせて頂いています。私も数多くを学ばせて頂きました。

ビジネスエリートへの道は、英語力×交渉戦略。 グローバルリーダーとしてキャリアを重ねたいのであれば、もはや英語力だけでは足りません。世界で活躍するビジネスパーソンなら巧みに使いこなしている「交渉戦略」とその戦略に沿った「英会話」を同時に学ぶことで、商談や会議、販売などあらゆるビジネスシーンで駆け引き上手なビジネスパーソンになれるでしょう。
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目次

英語交渉の場で使われている交渉の型10選

High ball / Low ball(ふっかける交渉術)

これを交渉術と呼ぶのか最初は疑問でしたが、立派な交渉術です。いわゆる「ふっかけ」というやつです。

海外旅行して東南アジアや中東のマーケットに行くと日常茶飯事に行われています。

実際は100円程度のものを売り手が3000円だと主張したり、その逆で実際は5000円で買っても良いと思っているのに「500円なら買う」と買い手がいってみたり。

そこらへんの「はったり度合い」は言う人の自由です。

High ball / Low ball の英語例文

例文 例えば5万ドルが妥当な金額だとして、以下のHigh ballな提案をしてみましょう。

“Given the premium quality of our products, we propose a starting price of $100,000 for this contract. However, we are open to discussing your budget and finding a mutually agreeable figure.”
「当社の製品のプレミアムな品質を考慮すると、この契約の開始価格を10万ドルと提案します。ただし、貴社の予算について話し合い、双方にとって納得のいく数字を見つけることにはオープンです。」

*この例では、最初にかなり高めの価格を提示しています(High ball)。価格の根拠として品質を挙げています。

例文② 違うHigh ballの投げ方です。相手の提案に対して、かなり大幅High ballな要求です。
“Your proposal of a 5% discount is noted, but we feel a 15% reduction reflects the true value of our long-term relationship and the volume of business we bring.”
「5%の割引提案は承知しました。しかし我々の長期的な関係とビジネスのボリュームを考えると、15%の割引が妥当だと感じています。」

*相手の低い割引提案に対し、より大きな割引を要求しています。

Good Guy Bad Guy(厳しさと優しさで相手の精神をゆさぶる交渉術)

その名の通り同じチーム内で「良いひと」と「悪い人」を演じるという交渉です。

自分ともう一人で(或いは二人以上で)ペアを組み、事前にGood GuyとBad Guyの役割を決めておきます。

Bad Guyが強めな発言をし、一方でGood Guyがなだめることで、相手を精神的に揺さぶり、交渉を有利に進める手法です。

逆もあります。優しい発言をして油断させてその後に相手に厳しい事を言ってゆさぶる事もあります。

Good Guy Bad Guyは日本の刑事ドラマでもよくみられます。

取り調べの際に一人の刑事が容疑者を時間をかけて精神的にとことん追い詰め、最後にもう一人の刑事が容疑者に「お前の気持ちわかるよ、かつ丼でも食べるか?」と優しい言葉をかけ自供に追い込む、というやつです。

Good Guy Bad Guy英語例文

例文 AさんがGood guy BさんがBad Guyです。AさんとBさんは同じ会社です。

A: “We’re genuinely excited about the potential for collaboration here. I believe we can find a common ground if we discuss further.”

B: “However, we can’t overlook the financial aspects. The numbers have to make sense for us, and right now, they don’t.”


A:「ここでの協力の可能性に本当に興奮しています。さらに話し合えば、共通の利益を見つけることができると信じています。」

B:「しかし、財務面を見過ごすわけにはいきません。数字が私たちにとって意味をなさなければならず、現時点ではそうではありません。」

Snow Job (言葉巧みに相手を誘導する交渉術)

言葉巧みに相手を誘導して、ある意味だます、というやり口です。実際は立て板に水のように話をして相手を説得する交渉術です。

Snow jobの由来はいくつかあるみたいですが吹雪になると、雪で周りが見えなくなる。

そのイメージは、言葉の雪を降らせて周りを見えなくする、という事のようです。

話の中身は専門用語やもっともらしい数字をあげているだけだったり論点のすりかえだったりします。

一歩間違うと詐欺に近い?とも言えるかもしれません。

やり方がやり方だけに、長年ビジネスをしている親しい相手、もしくはこれから親しくしたい相手には仕掛けない方が得策です。

どちらかというとB to Cの商談で一回限りの相手に試す方が良いですね。

Snow Job の英語例文

例文 これはなかなか例文として出しにくいですが、1つのイメージとして以下挙げます。

“Let’s delve into the technical specifications of our product, including the advanced technology it utilizes, the innovative materials used, and the comprehensive testing it has undergone, which all contribute to its superior quality.”

「私たちの製品の技術規格について深く掘り下げてみましょう。使用されている先進技術、革新的な材料、徹底的に行われたテスト等があり、すべてがその優れた品質に寄与しているんです。」

*この後、技術的な説明を事細かにして相手を煙に巻く、、という展開でしょうか。

Bogey (ボギー:偽りの要求を相手にぶつける交渉術)

Bogeyは「自分にとって本当は重要ではないことをまるで重要であるように振る舞って、代わりに相手から本当に自分が欲しい条件を手に入れる」という方法です。

架空の自分の要望を作り出し、相手にふっかけることで、自分が妥協したとみせかける、なんとも高等なテクニックですね。

例えばあなたがお酒の卸会社で、取引先のレストランから「明日急にパーティーが入ってビールを10ケース納品して欲しい」という依頼があったとします。

それに対して「リードタイムが中一日かかるので明日納品は難しい」(本当は余裕で納品が可能なのに)と切り出し、

「ただビールの単価を3%上げさせてもらえればどうにか明日納品で会社に話を通します!」と条件をつけます。

お客さんはどうしてもビールが欲しいので単価UPをのまざるを得ない。

この場合、bogeyテクニックを使っていると言えます。本当は重要ではない条件(納期)を出汁に本当に欲しい条件(価格)を承諾させる、という技です。

Bogey  英語の例文

例文 以下はAが納期については特に気にしていないが、あえて納期条件を持ち出して、他の成果を取ろうとしているシーンです。

A : As we’re close to finalizing the agreement, the delivery timeline is vital for us. Is it possible to have a one-week turnaround from the order date?

B: We’ll do our best, but the fastest we can manage is two weeks.

A: That’s a bit disappointing. If it has to be two weeks, could we possibly get some form of compensation? Like a special discount on our next order?


A さて、私たちは合意にかなり近づいていますが、納期のスケジュールは私たちにとって非常に重要です。納期を発注から1週間とさせてもらえますか?

B: 私たちもできる限りの努力はしますが、最速でも2週間が限界です。

A それでは困ります。2週間にするのであれば、何か他の形で補償してもらうことは可能でしょうか?例えば、次回の注文での特別割引などです。

Chicken (どっちがチキン「臆病者」かを決める我慢比べの交渉術)

これはカーレースのチキンゲームから来ています。

カーレースの「チキンゲーム」は、2人のドライバーが対峙し、どちらかが逃げ出すことなく直進し続けることを求められる競技形式です。衝突を恐れてハンドルを切った方がChiicken(臆病者)と判定され負けです。臆病であるかどうかで勝敗をジャッジします。

交渉の場面においては双方が相手を脅しながら主張を曲げない事を指します。この交渉ではハンドルを切った(妥協した)側が敗者となります。ただ、これだけだとただのわがままな交渉ととられるので他の交渉術とセットで使います。

Chicken 英語例文

例文 

A: “If we can’t finalize the pricing by today, we’ll start looking at other suppliers. It’s your call.”
「もし今日中に価格を最終決定できなければ、他のサプライヤーを探し始めます。決断はあなた次第です。」

B: “That’s quite a bold stance. Are you sure your company is ready to take that risk?”
「それはかなり大胆な態度ですね。本当にそのリスクを取る準備があるのですか?」

A: “Absolutely. We have other options on the table. It’s important for us to secure the best deal possible.”
「もちろんです。私たちには他の選択肢もあります。可能な限り最良の取引を確保することが重要です。」

B: “I see your point. Let me discuss this with our team and get back to you.”
「あなたの言いたいことはわかりました。私たちのチームと話し合い、また連絡します。」

Nibble(少しずつ利益をかすめ取っていく交渉術)

Nibbleは「少しずつかじる」ことを意味します。交渉では、小分けに要望を伝えていき、最後には大きな成果を取っていく手法をいいます。

大体最後の契約締結間際になって、「あと少しだけ●●の条件をつけてもらえませんか?」、「あと少しだけ価格なんとかなりませんか?」という形で最後の最後に「もう少し」をお願いする交渉方法です。

人間、物事が決まる直前にお願いされたら妥協しやすいもの。人間のそんな心理を使っています。

Nibble英語例文

例文 

A: “I’m pleased that we’ve reached an agreement on the terms. We believe this is a fair deal for both parties.”
「条件について合意に達できてうれしいです。これは双方にとって公平な取引だと考えています。」

B: “We’re also happy with the progress. However, I was wondering if we could add a small detail. Would it be possible to receive an extra service check per quarter at no additional cost?”
「私たちも進展に満足しています。しかし、少し細かい内容を追加できないかと思っています。追加費用なしで四半期ごとに追加で機能検査を受けることは可能でしょうか?」

A:”That’s an unexpected request, but I understand the value it would add for you. Let me discuss it with our team and see what we can do.”
「それは予想外の要求ですが、それがあなた方にとってどのような価値があるか理解しています。私たちのチームと相談して、何ができるかを確認します。」

B: “Thank you for considering our request. We believe this additional check will enhance our partnership.”
「ご検討していただきありがとうございます。この追加検査が私たちのパートナーシップを強化すると信じています。」

Defense in Depth(人が入れかわり立ちかわりする交渉術)

これは相手と交渉する人間を複数人用意しその時々によって直接交渉する人間を変える事です。

時間をかけ相手を疲弊させる事が出来、こちら側が優位に立つことでより良い条件を得やすくなります。

担当する人間は大体位の低いひとから高い人へと移ることが一般的です。例えば担当者⇒係長⇒課長⇒部長など。

場合によっては職位ではなく立場の違い(部署違い)で回す作戦もあります。営業部担当者⇒マーケティング部⇒経営企画部など。

*会話内容の戦略ではないのでこの項では例文を省きます。

Door in the Face (わざと相手に門前払いをさせる交渉術)

方法としてはまず、交渉する相手に最初にかなりふっかけた価格を提示し、あえて断らせる。相手は断ったことを後ろめたく思う。

その後、更に低い価格を断った相手に提示して成約させる。

2回目に提示した価格が本来落としたかった価格、というのがミソです。

この戦略は、ふっかけた価格と2回目の価格があまりにも離れていたり、1回目と2回目の提示の時間が短すぎると不信感を生み出します。

時間を置いたり他の条件でカモフラージュしたり、不信感を生み出さない演出が必要です。

Door in the Face 英語例文

例文 

A: “We are looking to get an exclusive contract with your company for 5 years.”
「貴社との独占契約を5年間結ぶことを望んでいます。」

B: “5 years is a long commitment. We’re not prepared to agree to that.”
「5年というのは長いコミットメントです。それに同意する準備はありません。」

(*通常以下の再提案をするまでに時間を空けた方が良い)

A: “Understood. Would a 2-year contract be more acceptable?”
「了解しました。2年契約であればもっと受け入れやすいですか?」

Deadlines (締切の設定で相手にプレッシャーをかける交渉術)

Deadlinesは、期限をを設定することで緊張感を出し、望む条件を引き出す」というものです。

わりあいおなじみの交渉術ではないでしょうか。

職場、学校、家庭の中でも期限をもうけることで相手にプレッシャーをかけ成果を得ていく、、、知らず知らずのうちにやっていますね

Deadlines 英語例文

例文 

A: “We need to finalize this deal by the end of the week to meet our quarterly goals. Can we count on your decision by then?”
「四半期の目標を達成するために、今週末までにこの取引を確定させる必要があります。その時までに貴社の決定を頂けますか?」

B: “That’s a tight timeline, but we understand the urgency. We’ll expedite our decision-making process.”
「それはタイトなスケジュールですが、緊急性は理解しています。私たちの意思決定プロセスを加速させます。」

Batna (常に代替策を意識する・意識させる交渉術)

BATNA(Best Alternative to a Negotiated Agreement)は、交渉術で重要な概念の1つ。BATNAは、交渉相手との合意が成立しなかった場合に、あなたが持っている最善の選択肢や代替案を指します。

簡単に言うと交渉をするにあたって「複数の選択肢を持つ」という事です。

相手と合意する以外に複数の選択肢があれば「あなたと合意する以外に複数の良い条件があるのであなたとは合意しません」と宣言が出来ます。

これが合理的な交渉の基本です。

例えばあなたが自分が乗っていたフェラーリを中古買い取り業者に売る場面を考えてみましょう(あまりないシーンですが、、)

あなたは事前に友人とも交渉を進めており、友人はフェラーリを2000万円で買いたいと言っています。

買い取り業者の提示額が2000万円を下回るようだったら友人にフェラーリを売ります。これがあなたのBATNAになります。 

逆に買い取り業者が出せる価格は2500万円で、額がこれ以上になるなら、他の売り手を検討しようと思っています。買い取り業者のBATNAです。

今の所2000万円〜2500万円が双方が合意できる範囲(一般的にZOPAと言います)で、この範囲で交渉していくことになります。

ただあなたがまた他の友人がいて2200万円以上を提示するならば2200万円〜2500万円が合意できる交渉範囲となります。

つまり良いBATNAを数多く持つことが交渉を有利に進めるキーポイントとなります。

例文 

A: “While we’re eager to work with you, we’ve explored other partnerships that offer similar benefits. It’s essential that we find terms that are mutually beneficial.”
「私たちは貴社と協業したいと思いますが、同様の条件を提示する他社も検討しています。双方にとって有益な条件を見つけることが重要です。」

B: “We understand your position. Let’s discuss how we can make this deal more attractive for both sides.”
「貴社の立場は理解しています。本件がどうやって双方に魅力的な取引にできるか、話し合いましょう。」

まとめ

いかがでしたでしょうか?以上が交渉で使う型の10選になります。

実際はもっと数があるのですがまずはこの10選を押さえたうえで発展形として他のものもご紹介出来ればと思います。

別記事でこの型を使った数々の映画の場面もご紹介致しますのでよろしくお願いいたします!

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