今日も、映画からリアルなビジネス英語のスピーキングフレーズを学んでいきましょう。
本日取り上げるのも『AIR』という映画です。
この作品では、ナイキがどのようにしてバスケットボールの伝説的選手、マイケル・ジョーダンとの契約を獲得したのかが描かれています。
多くの人がナイキにとってマイケルとの契約は不可能だと考えていましたが、そのような困難をナイキがどのように乗り越えたのかを詳細に描いています。
映画には、ビジネス英語のフレーズが豊富に登場します!
映画全体がビジネス英語の教科書と言っても過言ではないと思っています。
個人的にはビジネス英語を学べる映画の3本の指に入ると思っています。
映画本編をご覧になりたい方はこちらからどうぞ↓
誰に向けて書いているか?
英語を使って情報を伝えるだけではなく、相手の心を動かして、行動に移してもらいたいと思っている人。
。
本記事で学べる事
- 人を動かす原則の1つである「一貫性」について
- 交渉の場面で「一貫性」を使用する際の英語構文の組み立て方
- 「自分だったらどう言うか?」自分事としての応用表現の作り方
本記事を読めば実戦で使えるリアルなフレーズが学べます!
効果的なフレーズを自分のものにして実際のビジネス現場に活かしていきましょう!
こんにちは、たっちゃんと言います。
海外営業職に就いてもうすぐ8年になります。
①冒頭で原点を語る。 (過去に印象的だった話や自分たちが立ち返る場所・ポリシーについて)
②That’s why we’re all here. (だから今の我々があるんだ)
③Don’t change that now. (それを変えちゃだめだ)
映画「AIR」解説と本日のマジックフレーズ紹介
あらすじと今日のフレーズを順を追って説明します。
「AIR」あらすじ
まだ映画「AIR」を見られていない方はこちらをご参照ください。https://eiga.com/movie/99032/special/
今日のシーン
それでは本日のシーンを見てみましょう!
ナイキの社員である主人公のソニー・バッカーロ(マットデイモン)とナイキの社長であるフィル・ナイト(ベン・アフレック)の打合せのシーン 2つ目です。
ソニーと社長の打合せシーン1つ目(交渉術③)をまだ見ていない方はこちら↓
ソニーはNBAに新加入するマイケルジョーダンの可能性を理解し、社長のフィルに「どうしてもジョーダンと契約を結びたい」と直談判します。
ただ契約金はナイキのバスケットボール部門全体の予算とほぼ同額。
もしジョーダンと契約を結べば、他の新人選手との契約は結べなくなります。
マイケルジョーダンの可能性に対して懐疑的だったフィル社長は大反対。ソニーは交渉の際に使われる「一貫性」の原則を用いて社長を説得しようとします。
(字幕設定で英語字幕出せますので、そちらもチェックして下さいね)
英文解説
実際のセリフ
Yeah, okay, it’s risky.
確かにこれは賭けだ。
When you were selling sneakers
out of the back of your Plymouth, that was risky.
でも、昔君がPlymouth(車)に乗ってスニーカーを売ってた時もリスクを背負ってたじゃないか(*註1)
It took balls. I mean, that’s why we’re all here.
覚悟を決めてたろう。だから今があるんじゃないか
Don’t change that now.
その姿勢を変えちゃだめだ
*註1:1964年ナイキの起業当初、輸入した日本製の靴をフィルが車に積んで売り歩いていた事を言っている。
out of the back of your Plymouth ・・・プリマス(車)のトランクから
A take balls ・・・Aをするには度胸が必要となる
that’s why S+V ・・・(前を受けて)だから SはVだ or SはVする
セリフ解説
この場面はマイケルジョーダンと契約する事に乗り気でないフィル社長(ベンアフレック)をソニー(マットデイモン)がどうにかして説得しようとするシーンです。
1文目 Yeah, okay, it’s risky.
このシーンでソニーはフィル社長の心配に同意し、確かにリスクはある、と話します。
2文目 When you were selling sneakers out of the back of your Plymouth, that was risky.
フィル社長の起業当時の過去の話を持ち出します。車にスニーカーを積んで売り歩いていた頃の話です。売れるかわからない日本製の靴を輸入してきてアメリカで販売する、それは確かに大変リスキーな事。
だけどそうやってリスクを負ったからこそ今がある。とソニーは話します。
3文目 It took balls. I mean, that’s why we’re all here.
take ballsの意味は、覚悟が必要である、ということ。当時は大変覚悟が必要だったろう。
でもthat’s why だからこそ we’re all here 自分たちが(大会社という)今のポジションにあるんだ。
4文目 Don’t change that now.
そのリスクをとるという姿勢を変えてはダメだ。とソニーは言います。そのリスクを取る姿勢こそナイキなんだという事です。
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「一貫性の原則」の解説
ソニーがフィル社長を説得する際に「一貫性の原則」というものが使われています。
この「一貫性の原則」とは、社会心理学者であるロバート・B・チャルディーニが書いた「影響力の武器」で触れられています。
「一貫性の原則」とは自分の言葉、信念、考え方、行為を一貫したものにしたい、という人間の欲求の事。
言い換えると自分が決断した事に対してはその決断を最後まで貫き通す、という行動特性が人間にはあるという事です。
ソニーはこの「一貫性の原則」を利用してフィルを説得しようとしています。
ナイキの精神性はリスクを取り挑戦する事。
今マイケルジョーダンと契約を結ぶのはリスクである。でもその挑戦をしないと、ナイキの一貫性が崩れて未来の成長は無い、という事をフィルに伝えようとしています。
リスクを取る事がフィル社長の本来の信念であり、それを変えるのは「一貫性」がなく良くないと言っています。
この「一貫性の原原則」を使ってフィル社長を説得しようとしているのです。
他の5つの原則とあわせ説得・交渉に必須な6つの原則をこちらで説明しています。お時間がある時に是非見てみてください。
構文解説
もう一度構文貼ります
①冒頭で原点を語る。 (昔印象的だった話や自分たちが立ち返る場所について)
②That’s why we’re all here. (だから今の我々があるんだ)
③Don’t change that now. (それを変えちゃだめだ)
本日の構文を自分にあてはめた例文作り
「一貫性の原則」を使った例文
ビジネス上での例文
この構文を自分の事にあてはめて例文を作ってみましょう。
例えば昔、自らのお金を投げうった事で、事業を作って成功した会社があるとします。
その場合以下の例文が思い浮かびます。
例文
When you were putting your own money into starting a new project, that was dangerous.
君が新しいプロジェクトを立ち上げるために自分のお金を投じていたとき、それは危険だった。
It required courage.
それは勇気がいることだった。
That’s why we are all here.
つまり、それで今の我々があるんだ。
Don’t change that now.
その姿勢を今変えてはだめだ。
私生活での例文
会社の事ではなくプライベートな会話でもこの構文は使えます。
例えば自分の息子に昔の思い切った行動を忘れないでほしい時このような例文が心に浮かびます。
例文
When you were heading out on road trips every weekend, that was risky.
「君は週末ごとにロードトリップに出ていたね、それはリスキーだった。
It took great courage.
それは大きな勇気を要したんだ。
That’s why you are here.
だからこそ今の君がある。
Don’t change that now.
今、その姿勢を失くさないで。
「一貫性の原則」を使った応用例文
応用例文①
今度は少し単語を変えてみます。こんな言い方も出来ます。
例文
When you broke down the department walls to create an open space, that was risky.
君が部署間の壁を取り払ってオープンスペースを作り出したとき、それはリスキーだった。
It was a testament to your innovation.
それがあなたの革新性の証だ。
That’s why we’ve all gathered here.
我々がここに集まっている理由だ。
Keep that spirit unchanged.
その精神は変えないでほしい。
a testament to A ・・・Aに対する証明、証
Keep A+B ・・・AをBの状態にする
応用例文②
もうひとつ例文出しておきます。
例文
You were taking a risk when you decided to overhaul our product line to focus on sustainability.
持続可能性に注力するため製品ラインを全面的に見直すと決めたとき、あなたはリスクを冒していた。
It required conviction.
確固たる信念が必要だった。
It’s precisely why we’ve become industry leaders in innovation.
だからこそ画期的な分野で我々は業界のリーダーになったんだ。
We shouldn’t back away from that commitment now.
今そのコミットメントから離れてはならないよ。
to overhaul a product line ・・・製品ラインを刷新する
conviction ・・・信念
back away from A ・・・Aから退く
どのようにこのフレーズを応用するか?
自分にあてはめた文章を作ろう!
読者の方々はそれぞれ自分のいる会社、職場での関係性シチュエーションが違うと思います。
ご自身のおかれた環境をイメージしながら上記構文を使って皆さんに合った文章を作ってみてください。
それを何度も暗唱する事で自分のフレーズとして獲得できます。
練習方法
この構文を利用した自分事としての例文をつくり、自分のものにするためにも声に出して何度も繰り返しましょう。
原文音声をひたすらシャドーイング
ますます自然なネイティブのリズムや発音を手に入れるために、最初にオリジナルの音声を真似てみましょう。
自分事文をひたすら音読
原文音声のシャドーイングが出来るようになったら、自分が現在置かれている状況で文章を1つ(或いは3つくらいまで)作りましょう。それを覚えて無意識に表現できるようになるまで、繰り返し音読してください。適切な反復回数の目安は100回です。
まとめ
本記事では、映画「Air」を通して、ビジネスにおける「一貫性の原則」の重要性とその具体的な活用法について学びました。
人間は過去の自分と今の自分に一貫性を持たせようとします。
この交渉術はその原則の応用。
交渉相手の過去の言動やコミットメントを持ち出し、相手に一貫性を持つように仕掛けるのです。
映画の中で、ナイキ社員であるソニーはこの原則を駆使して、社長のフィル・ナイトを説得しようと試みます。具体的には、過去のナイキのリスクをとる姿勢を引き合いに出し、その精神を変えないことで大きな成功を収めてきたという事実を強調しました。
このシーンをもとに作った自身のセリフを繰り返し練習して是非自分のものにしてください。実際のビジネスで大いに活用してください。
①冒頭で原点を語る。 (昔印象的だった話や自分たちが立ち返る場所について)
②That’s why we’re all here. (だから今の我々があるんだ)
③Don’t change that now. (それを変えちゃだめだ)
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